2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧
嫌いな自分になっているときだけ無神経に自分を肯定したりして、数日後には白と白に挟まれてひっくり返って裏がわになってた部分があらわになるのもなんとなく分かるし、身動きなんてとれやしないんよ。 小説家でもないのに書きたかった物語があったりして、…
少し傾いているように見える、白い塔を見上げる。喫煙所で休憩している僕たちの前に東京スカイツリーは悠然と佇んでいた。押上駅から階段をビル4階ほどの高さまで登り、塔のふもとにようやっとたどり着いた頃、あたりには夕方が始まろうとしており、点々と浮…
「11月は、ドイツでは、寂しい月なんです」60歳前後の男性教授はドイツの祝日を説明しながらそんなことを呟く。難しい言葉を使って繰り広げられる講義の大部分はうまく頭に入ってこなくて、とりあえずホワイトボードに書かれたキーワードたちをプリントの端…
市ヶ谷駅を過ぎたあたりだっただろうか、いつも背後に伸びている影みたく、「忘れていただけでいつもそこにあったのだ」と言わんばかりに、夢の中の彼女が姿を現した。 「ねえ、外国に行きたいって、前に言ってたじゃない?」彼女は夢と同じ服装のまま、僕の…