今年の猛暑度合い

度重なる猛暑でタケルの家の犬が溶けて、ぶよぶよとした犬になったらしくって、まるでサチィみたいじゃないかって笑いとばしてみたんだけど、ふと見れば僕の髪の毛も溶け始めていて、あっという間にハゲ頭になっちまったわけ。

そしたら中学生の頃から連絡とってない優秀だった女の子から連絡が来たものだから、それどころじゃない感満々で、世にも冷たいスタンプを返したら途端アイフォンも溶けちまってささやかな爽快感。僕はまわりにある知らぬまに溶けていたさまざまなものを探した。かーちゃんの手鏡は溶けて過剰にシワがあるようにみえるようになっちまってる。花屋のチューリップは溶けてやけに高値で売れる抽象絵画になってて、ローソンの看板は溶けすぎた結果ギリシャの国旗になってた。

でも何てったってこれが一番で、吉祥寺駅は全てのスピーカーが溶けて駅メロやら放送の類全てが聞こえなくなってた。代わりに熱さに強い吟遊詩人が故郷である火星の歌を歌ってる。少しだけわびしくなるような歌で、僕は踊りながら骨まで溶けて無くなっちゃった。