BUBUKA

私は途端に身体に重たくのしかかるようなものを食べたくなる。後で胃の表面をもったりしたものが覆って、唸るように後悔するんだろうな、と何の気なしに思いながら、それでも、何かしらヘビーなものが喉を通ってくれるといい。

そんな日が時折訪れると、私は少し貴族な心持ちを(そんなものは元々ないような物なのだけれど)少しの間手放して、街にあるラーメン屋に入る。やっぱり味は大事だから、少しくらいは人気のあるところがいい。私って、結構こういうところ来るんです。という感じを出して、「注文いいですか」なんて、少しばかり大きめの、ちょいとだるいような声を出してみる。宣言通り貴族的な座り方はしない。コートは急いで大胆に脱ぐ。バッグを思い切って少し放り投げるようにおいてみる。本当に調子のいい日、例えば今日なんかは、大盛りを頼んだりする。私の身体は華奢で子供っぽいところがあって、こんな姿の人間が大盛りのラーメンを頼むなんて、まるで囲碁部の少女が体育の時間に行う跳び箱みたいだと、6段までしか跳べなかった自分の過去を思い出して笑う。

席の後ろに構えられた荷物置き場の横にある水色の機械にセルフサービスの水を取りに行くんだけれど、中々肝心の水が出なくて、幾らか勢いの良すぎる水が落ちてくるはずの空間に空のカップを何度か押し当てるとカシャカシャと機械が腑抜けた音を出す。「あの、これ」もう水がないかもしれません、と続けようとしたら、「もっと強く押してみてください」と忙しそうにしている店員さんがプライベートな声で小さく言ってくれる。力を強く入れると案の定幾らか勢いの強すぎる水が出て、私は何か、この場所の権利を機械から返してもらったような気がして、安心する。

やがてギラギラに光った麺がどんと机の上段に置かれると、私はそれを王からの褒美のように大切に下段におろして、箸を取る。箸は竹の筒の中に乱雑に入っている。世界中のおいしいは今一瞬だけここにあるんじゃないかと思って、私は油で光った麺を啜る。