塔の向こう

足取りを確かめると地面と後ろばかりを見ることになる。

先行きの見えない明日だとか、数年後に心配を持っているのは、まるで曲がり角の先にある可能性に不安と期待を高めるだけの子供みたいじゃないか。

道を曲がった先にあるのは次の道だけだ。引き返すか進むしかないだけなのに。

 

塔は見えているか。彼は君に問う。

うん。

じゃあ進む方向は分かってるじゃないか。なんでここで立ち止まってるんだい。

本当は、さ。

本当は?

塔に登りたいわけじゃないと気付いたんだ。

じゃあなんで塔に向かうんだい。

君は深呼吸をする。ここからなんだと自分に言う。さあ、と。

僕は塔の向こうの星をみるんだ。あそこからならよく見えるだろうから。