Sea and The Darkness Ⅱ

 黙ってても生きていける僕らは、何故そうまでして言葉を交わすのだろう
 何故文字を書くのだろう。音を鳴らし、絵を描き、体を揺らすのだろう
 義務でもないのに、何かを伝えようとするのはなぜだろう

 どうしようもなく不揃いな僕たちは、闇の中で形を溶かす
 世界中の影が、そんな風にして一つになる
 僕らはそれを夜と呼んで、ひそかに愛し続けてきた

 けれど世の中には夜を渡ってくるものがある
 日差しが僕らを照らしてくる、形の違いを浮き彫りにする

 そんな時に、耐えられずに、目が眩んでなにも見えなくなってしまう人々は
 どんな風に生きればいいのだろう
 日差しの中で、全てが見えなくなってしまった

 けれどそんな時に、心の一番奥に、暗闇を残し続けている人々のそばには
   ささやかな闇がきっとあるはずだ

 自分の一番深い憂鬱は、きっと世界全部が一つに溶けていた、闇の中につながっている
 僕らは日差しの中に投げ出されながらも、自分の持つささやかな暗闇を盲目的に守り続けていく
 その中で言葉を交わすのだ。何かを伝えようとするのだ
 「不揃い」が許されるあの場所の、全てが溶けていたあの場所の、
 深い深い海と闇を想いながら、文字を書いていくのだ