フクラム国

タルイのブログです

鳥と鳥/Bird Cage

 三番通りの坂を自転車で下りながら、彼女は毎日のように笑っていた。
 あの頃の彼らには怖いものなど何もなくて、代わりにあったのは、世界を覆すような秘密と、戦いだらけの毎日と、死ぬ気で主張しあった個性だけだ。不揃いなピースはお互いを削り取りながら、ぶつかって、それでも同じ場所で、どうにかして生きていた。

 彼らが友達になった時、二人は目があった途端に何かを感じ取ったみたいで、教会の中でくすくすと笑いあいながら、外にこっそりと抜け出した。手をつなぐと、そこにははっきりとした繋がりがあって、僕たちは似た者同士なんだって、確認し合うようにもう一度笑いあう。

 それから僕らは随分と大人になったけれど、君はそのままの笑顔で、好きなように絵を描いて、僕の知らない世界へと、飛び立ってしまったらしい。永遠に僕がうずくまっている籠の外へと、僕の知らない方法で、翼を生やして飛んで行ってしまったみたいだ。

 僕がベッドの中で作り出していた君は、やっぱり君じゃないみたい。
 多分僕が「さよなら」というのを、君は待っているのだろう。
 二人のピースはやっぱり細かいところでどうしようもなく不揃いで、僕たちは今度はぶつけ合うこともせずに、遠いどこかで生きていくのか。
 さよなら、さよなら、さよなら。下校のチャイムが鳴って、君は晩御飯とベッドの待つ幸福な場所へ、走りながら帰っていった。