ウェンズディ/Wednesday

 水曜日の夜になると、君が体育館裏で猫を殺しているのを、僕だけが知っていた。    
 授業中は髪をいじくっているばかりで、白か黒か紺色の衣服を、まるで自分のものみたいに着こなしながら、君が笑って先生と話す姿を、遠いものとして認めていた。

「一緒に帰ろうよ」君は僕の耳元で囁くように言いながら、机のしたで足を絡ませる。僕は死んでもいいと思うくらいに、その足の生々しさを気持ち悪く思いながら、同時に、快感の中に濡れていくのを、言いようのないほどに味わっている。
 実験、フラスコは机に一つずつ、ウェンズデイ・アダムス、唇、乳首、薬の匂い、水道水の音、茂みの中に埋まる野良猫の群れ、世界の均衡、死ぬこと。
 帰り道に君が聞かせてくれたのは、ちょうどそんな話だった。僕らは見知らぬ駅へ向かう電車に揃って肩を揺らしながら、足を絡め続けている。やがて海が見えて、そのまた先に島が見えてきて、その島に死んだ猫たちはいるらしい。
 君は寝息を立てて僕によりかかる振りをしながら、僕の未熟なSEXを否応なく刺激する。死はすぐそこにあって、僕たちが向かっている場所も、多分また、そんなような何処かだ。