線路沿い

 今日街で会った22歳の占い師は随分と親身になってくれた。

 誰かと歩いているときは何故だかいつも、何処へだって行けそうな気がするし、夜の中でだって、白い線の内側を歩いているように思えてしまうんだ。

 「そろそろ、本当に頑張らなくちゃね」と彼女は僕に言う。

 僕は何かを見透かされた気がして、あられもなく照れてしまう。

「今までの全ての頑張らなかった時間は、頑張らなかった分だけ無駄だったのかな」僕が地面を見ながら少し笑って、逃げるように呟くと

 「それは君次第だよ」と、占い師は力強く答えてくれた。

 22歳の彼女は幸せそうに笑いながら先へと進んでいく。頭にまあるい水晶玉をのせて、落ちないようにバランスをとって。

 彼女の笑顔からはぐれないように、その後について行けば、やがて明るさと喧騒の先に次の駅がみえてくる。急かすような中央線快速の音に追いやられて、僕たちは歩を早めながら、逃げ出したはずのあの街へ帰っていく。

 ずっと前に卒業したはずのその景色は、全く変わっていないようで、それでいて、何処か初めてな感じもある。

 

 「さあ、ここからだよ。」占い師は優しく笑った。