手書きメモ7

 彼女はぼうっと空を見ていた。透き通っていて、どこまでも広く、涼しい空。そこには彼女の絵の具で作られた水色がさらさらと載せられていて、僕はその中にすっぽりとくるまる。

 胸に溢れそうな「らぶ」を伝えようとしても、ノーフィルターの感情は少し相手に近づきすぎるってことが最近はなんとなくわかってきて、だからなんでもないことのようにいつか「らぶ」が伝わるのを待とう、なんて、心から思える人を素敵だと思う。

 純度のある空気の中で彼女は瞼を閉じる。少しだけ長い睫毛が見える。透明な風に髪がなびいている。何か大切なものがさらわれていくのを、それぞれの髪が何の気なしに惜しんでいるみたいだ。僕らは次の街へ行くための電車を待っている。

 けれどやがて彼女は少しだけ微笑んで、「もう帰ろう」というのだ。

 そして僕はその言葉を、どこか待ち望んでいる。