読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

L'après-midi d'un faune

タルイのブログです

Section3 学校 可愛さ RPG(1)

1.

 「いいね」をもらうために、彼らはどんなことだってできるのだろう。

 私は別に彼らのことを嫌いだとか、彼らより私の方が賢いだとか、そんな風に言うつもりはないけれど、そして「いいね」をもらうために全力で頭をひねる毎日もそれはそれで面白いと思うけれど、彼らのそれは、ひどく程度の低いものにしか見えないから、自分と違う世界の生き物とみなして生活していくしかなかった。あえて言葉にしていいのなら、私は学校にいる短すぎるスカートのことを、はだけた白シャツのことを、死ぬほど軽蔑していた。

 窓際の席は良かった。面白いくらいに退屈は空を眺めていると忘れられる。干渉する人間もいないし、私をどうしたところで「いいね」が手に入らないような、余りに無難な生活を送っているから、話題になったりだとか、いじめられたりだとかそんなことはまるでなく、はっきりと私は、学校の居心地を悪くはないと、いうことができる。自分だけが人間のようだ、と、そんなおこがましいような感情は、いつでも心の中にあったりするのだけれど、それは言葉にするには余りに乱雑だ。

 それでも私は彼らと友好的に接することができる。少しだけ可愛くして、それでいて優しく、あまり自分のことは話さずに、決して良すぎる点数を取らず、可愛さに守られるようにして、毎日を過ごすことができる。彼氏と呼ばれる関係が早々にできたのも良かった。私は彼のプロポーズを少し不思議に思ったけれど、それでも幸運なことに、私も彼のことが好きになっていった。優しく、正直で、純粋で、夢らしきものはなくて、将来に迷いながらも、どこまでも嘘をつけない。顔は格好悪いというほどでもなく、彼も少し影に潜むような子で、どうも嫌いになる理由なんてものが見当たらないから好きになっていくのだろうな、と、なんとなく思っていた。

 

 放課後、御茶ノ水に向かう快速電車は、夕暮れを反射して東京を貫いていく。電波塔にグラデーションをかける昼と夜の境は、自然が絶対的な基準であることを何よりも表しているように見えた。綺麗だね。そう隣に座るおじさんに言いたい。そしたら何も言わずに頷いて、忘れたみたいに岩波文庫をもう一度読み始めてほしい。人の数だけ人生があるというのは、本当に厄介だ。そして人と繋がることに喜び感じている人間が多すぎることが本当に億劫だし、絶え間ない変化の中で人との関係を紡いでいくことが、本当にややこしい。

 RPGゲームに半年くらい留学したい。全く同じ返答をする街の人々と私は楽しく会話できるだろう。どうしようもない虚しさを感じるまで、一旦はそんな街で、やはり全く同じことしか考えない勇者と一緒にレベルを上げながら毎日を過ごしていきたい。