フクラム国

タルイのブログです

少女 D

私の中にある海を生きるために浪費して、何を得たかといえば、何処にでも価値のある富だけだ。

 

段々と、小さくなっていく。

私を追い越す何かは、果たして世界なのか、愛なのか、夢なのかわからないけれど、それでも貴方は先に行ってしまう。

 

他人の背中に乗ってみたり、人真似をして乗車券を買ってみたりしたけれど、自分のいる場所がわからなくなる一方で、貴方のいる街へは何時までも、届かないのだ。すれ違うこともなく、ただ全く違う線路の上を、行き先もわからずに走っている。体だけが呑気に揺れている。

 

あとどれくらいの海が私にはあるんだろう。どのくらい私は自分の水で生きられるのだろう。

 

私が飲まれていく前に、今もまだ生きている貴方に、追いつきたいと願うのだけれど。

毎日に海は浪費されるばかりだ。

助けて欲しいわけでも、どうにかなると期待しているわけでもないけれど、仕方ないと言うにはあまりに私は生きていたいと願いすぎている。

 

貴方の頬の筋肉がどうなっているかだとか、貴方の体の包むような匂いだとか、或いは、貴方の好きな私の仕草だとか、全部車窓に映るばかりで、それも段々と、遠ざかっていく。距離が増えていく。私が何処にいるかも、何をしたいのかもわからずに、唯呑気に揺れる体に何があるかといえば、それはもう、貴方への一雫と、どうしようもない諦観と、そして救いようのない、私生活ばかりだ。