Portal 7-1 スワン

今日も一つ歌ができた。私の好きな歌ができた。

多分いつもみたいに、メロディだけは忘れないんだろうな。

 

ここは街の果て。君には決して来れないところ。私だけの場所。

 

 良い場所なんだ

 ここは、とても良いところ。

 何をしても、何に興味を持っても構わない

 少し、つまらないけれど、いつだって 辛くはない場所

 

「リリー」彼が呼んだような気がする。

悲しそうにしていた彼のことを、少しだけ、思い出す。

彼は空を飛べただろうか。彼は今も、アヒルのままでいるだろうか。私のことを、覚えているだろうか。

どうだろうな。わかんないや。もう顔だって、ぼんやりとしかわからないもの。でも、もしこの場所に彼が来たら、その時は慌てて隠れてしまうかもしれない。

 

毎日なにするかって、大概は決まっている。湖畔に止めてあるスワン・ボートの「くうちゃん」と、私は遠くまで旅に出るの。

すごく大きい湖なんだよ。そう、向こう岸まではまだ行ったことないんだけど、いずれいくつもり。

 

毎日は太陽に近づいていくようで、オレンジの味がする。

くうちゃんの中に丸まって寝ている時間が一番好きかな。なんだか落ち着く。誰かに包まれているみたい。

ほら、私の歌を歌いながら、目を瞑るの

 

木の音がするでしょ?水音も、全部静かに、私の歌と混ざっていく

今日の歌は少し明るくなっちゃったね。

なんだか、いい気分なの

 

うん。またね、おやすみなさい。……