Portal 6-1 Good Shoes

 崩れ落ちている。僕らの街には、まるでそれが絶対的な善業だと言わんばかりに、紫色の動物たちが次々と押し寄せて思い出をなぎ倒し、代わりに白色の不気味な建物を次々と建設していった。

「僕らの街が」イワンが言う。

「塗り変わっていく」

街に対して僕らが何を思っていたかといえば、それは決して好意的なものではなく、寧ろお決まりの人工的な眩しさと、下品な酔っ払い達の喧騒に対して一定以上の嫌気が大部分を占めていたけれど、その崩壊を、僕ら以外の誰もが、まるで気がついてもいないように通り過ぎていくその姿は、どこか悲劇的なものがあった。

「現実だ」イワンは悟ったように言う。

「え?」

「現実が悠然と押し寄せている」

 

立ちすくむ僕の肩に、皮肉なくらい馬鹿な笑い声を立てたネクタイの男がぶつかった。

「にいちゃんごめんごめん」まるで今の自分のために世界が回っているのだと言わんばかりに、まるでこの街の「未来」なんて、眼中にまるでないかのように彼は笑いながら言った。

 

曖昧な会釈の後にはしかしながら強烈な憎悪がふつふつと湧き上がり、対象をネクタイへと向けると、ずっと「なんのために生きているんだ」なんてことを思いながら睨んでいた。

「やめろ」珍しくイワンが強い口調で止めてくれるまで、ネクタイへの、この街への激情は自分に収まらないくらいに高まってしまって。

 

汚らしい提灯も暖簾も、ピンク色の看板も、僕らの街から凄まじい速度で消えていった。

 

 ねえ?イワン

 僕たち、どうなっちゃうんだろうね

 

そんなことを聞く前に僕らは街を抜け出して、あの丘へと向かっていった。