フクラム国

タルイのブログです

鯨がすぐ側を通れば

 時折訪れる感情だけが、僕を最も尊い感慨、すなわちノスタルジーに連れていく。

その感覚は決まって、いつもどこかで夢見ていて、それでいて昔は知っていたような不確かな空の色のよう。

 春が終わる。循環を待つ。僕は小説を書かなければならない。生きなければならない。そのために掘り出した感慨の原石は、淡々と佇んだその先で、時折、ふと僕を連れていく。

 円を描いて、待つんだ。ぶくぶくぶく。音のない海の中に沈んでいく。

 忘れた頃に回遊魚が近くを通る。ノスタルジーが泳いでいる。この世界を、この街を、この毎日を飛び越えて、悠々と泳いでいる。