答と問

 大切なものは目に見えないというけれど、それは幾ら何でも簡略化しすぎていると思う。例えば努力すれば夢は叶う、みたいに。

 大切なものでなくとも、この世のほとんどの事は目に見えないだろう。その中で大切なものがあるとすれば、それは聴覚にも届かず、感じる事も疎らな「曖昧な深淵」だ。

 その存在を造形してしまえば、真に大切なものではなくなる。だから語ってはいけない。奏でてはいけない。記してはいけない。ただ眺めなければならない。

 内側の円を俯瞰しながら、焦らずに、究極の神経、その切れ味を宿し続けなければならない。外の世界に対応する余裕など、何かを創る楽天さなど、今は何も、ないのだ。