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L'après-midi d'un faune

タルイのブログです

Hydrangea

 川沿いを歩きはじめてから、ずいぶん時間が経った。景色が徐々に柔らかくなっているように感じる。同時に、影の大きさが幾分増したように感じて、ああ、そうやって、無理やりに変わっていくのだなあと一人哀愁に似た紫色の感情に浸っていた。

 様々なことが無理やりに、日常にのって回っていく。季節も、君も、明日でさえも。そうして朝になっても、意識する暇もなく通り過ぎていくものたちに目をくれるでもなく、ただ紫色の感情とともに過ごしていたいと思うのだ。

 そのうち誰かが僕を見つけ出して、「ねえ、どこかに行こうよ」と誘ってくれる。それでいいんだ。僕はこの街に埋もれることなく、ただ川沿いを淡々と歩きながら、一人、夜に向かっていく。

 駅までまだ距離がある。足を前に進めることが習慣になりすぎて、たとえ意識しても足を止めれないんじゃないかと思うほどに、自律的に足が前に進んでいるような気がする。僕もまた無理やりに、日常にのって進んで行く。それを止めるのは、暖かく優しく頬をなでる風によく似た、陰鬱な自らの意識でしかないのだろう。だから僕らはどこへでも行けるはずだ。この場所から、いつだって、どこへだって。

 無理やりに朝が過ぎていく。でも多分、それからでも遅くはないのだ。