アップルミント

 そう、結局明日になれば忘れてしまうのかもしれないけれど、それでも、一瞬間止まった何か静かなこの感情を不確かなものにする前に、なんとかここに残しておこうと書き留めてみる。

 藍色の憂鬱、飛行機雲に貫かれた夕闇の冬景色。まだ外は肌寒く、白い息は感情の露呈を極端に隠蔽する靄のように空気に混じっていく。

 僕は今日も電車の中で睡眠をとり、ふらふらになりながら乗り換えを完遂し、そして大学に着く頃にやっと頭を動かし始めた。そんな日常の中でも、気づけばあんな風に、憂鬱が藍色に染まり、僕の世界がほんの少し色づいて見える瞬間が訪れたりするらしい。多分僕らはそのような、モノクロの平生に紛れ込んでくる一瞬間の色彩によって生かされているのだし、そんな刹那を夢見て、死に向かうだけの毎日をどうにかやり過ごしているのかもしれない。

 だとしたらなんて切ないのだろう。

 まあ、結局明日になれば忘れてしまうのかもしれないけれど。