フクラム国

タルイのブログです

好き勝手ごちゃまぜオマージュ 2

 お姉さんと人魚、二つ並べて考えると、そこには何らかの関係性があるように感じる。普通の人は全く気づかないだろう。確かにこの二つの事柄を線で結ぶのは難しい。もしかしたらお姉さんは「人魚に人権を与える会」のメンバーかもしれないし、(この町のわりかし多くの人が抱えている)人魚との何らかの思い出したくないようないざこざがあったのかもしれないけれど、「浜辺のカフェ」で働いているお姉さんを拝見しただけで一緒の関係図に人魚と彼女を収めるのは困難だろう。けれど僕の中でははっきりとその二つは結びついている。まるでメタファーのように、人魚をみるとお姉さんのことを想うし、お姉さんをみると人魚のことを想う。

 なぜ両者は糸で結ばれているのだろう。雰囲気、というほかないのかもしれない。人魚を近くで見たことは数回しかないが、今思って見ても、その匂いとか、表情の使い方とか(人魚はほとんど顔を動かさないけれど)、一つ一つがなんとなく、お姉さんに結びついていくのだ。

 もしお姉さんが人魚だったらどうしよう。僕は布団の中で考えてみた。眠る前にひらめいて毛布の中に隠れながら色々考えることはよくある。でも残念なことに、毛布の中で見つけた数々の発見は次の朝になるとよく忘れてしまっている。夢と一緒に誰かが連れ去ってしまうらしい。僕の連れ去られた夢と毛布研究所の大発見がもし戻って来れば、僕は計り知れないほど偉くなるだろう。それほど僕は偉大な発見をたくさんこの場所でしてきたように思う。でもそれも記憶があやふやでふわふわしている。うーん。お姉さんが人魚だったら少し悲しいかもしれない。もう慣れっこだが、昔から町では人魚がまるで厄介ものみたいに扱われている。「人殺し」という脅迫文が漁師さんのところに届いたのがこの前ニュースになったし、それを見て「でも今の法律では人魚を殺しても無罪なんだよなあ」と呟いた父さんのせいで朝ごはんが少し美味しくなくなったのも覚えている。なんで人に似た形の動物が人以外にいちゃったんだろう。人魚の上半身が牛とかだったら、多分何も問題はなかったはずなのになあ、と言ってもこの町にはいたって普通に人魚がいるからそんなこと考えても仕方ない。人魚は女の人の顔立ちをしているし、おっぱいもある。そういえばお姉さんのおっぱいは人魚のおっぱいと少し似ているかもしれない。世の中には多分沢山のおっぱいがあるが、その中でお姉さんは人魚型のおっぱいをしていると言っていいだろう。なるほど、ここに一つ関係性が見つけ出されたぞ。しかし僕はそんなにお姉さんのおっぱいをちゃんと見たことがないかもしれない。おっぱいを見つめるのはなんだか少し恥ずかしいし、なんとなく失礼な気もする。うーん。それにしても、お姉さんが仮にもともと人魚だったとしたら、人間の言葉をどこで覚えたんだろう。どうやって人間の足を手に入れたのだろう。どうやって外でも生きられるようになったんだろう。うん、たくさんわからないことだらけだ。やっぱり無理があるかな…。父さんは僕の発見を聞くと大抵、「研究対象に取り上げるものが面白いなあ」と評価してくれる。評価してくれない時もあるけれど、その時はいつも僕自身が大発見と思っていない節があるので良い。でも父さん、この「お姉さん人魚説」は少し無理がありそうだ。しかしなぜここに繋がりを感じるのだろう。やっぱりおっぱいかな。恥ずかしいけれど、明日覚えてたらお姉さんに聞いてみよう…そう…明日覚えてたら……

(続く)