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タルイのはてなブログ

タルイのブログです

閑話休題自己懐古

 街に出た。ユリイカで特集をされている映画を借りに行くためだった。都内最大級の、徹夜民のたむろする「SHIBUYA」という街へと向かう。

 なかった。メイカーがレンタルを禁じているということだった。笑った。なんのためにこんな腐った街へ、こんなに日に出てきたのだろう。

 スクランブル交差点の四方を中位の黄色の看板が、「ありがたいお言葉」を貼り付けて不安定に囲っている。「神のみこころのままに」スピーカーから低い男の声。東京の中心で拡声器と神が媚びるようにして人々の耳を洗う。

 新宿に出た。ブックオフに立ち寄る。ほんの少しの慰めだ。慌ただしい店内。残り30分のタイムセールらしい。108円になったら買おうとしていた長編小説や、語学の学習教材を一通り詰め込む。5300円。いつもなら10600円。新しく買えば25000円くらいか。少し後悔したようにみせようとするけれど、とてもじゃないけど財布がやばいだの感慨に浸っていては本は読めないし語学は上がらない。風俗通いはないし酒も飲めないので金がなくなるまで少し時間がある。そこに甘えていく。

 

 漱石を読んでいたら乗り過ごした。三鷹で降りる。シャッター、シャッター、シャッター。まるで世界が一旦終わったみたいだ。不気味なまでの晴天。アイロニカルに助長されること。「まるで世界の終わりみたいだ」。一瞬間の燃えるような気分。どこへでもいけるかもしれない。

 

 家に帰る。読みかけの漫画を終える。『最終兵器彼女』。僕の恋愛が世界のあり方に繋がっている。セカイ系。人がたくさん死んでいく。青年の憧れ。恋。切ない言葉。自分がいて、セカイがそこにあり、他者は他者としてそこに従事する。僕の思考もいまだそこまでだ。他者もみな自分を持っていることを理解するには、あまりに幼すぎる。知識を理解することに成功するのは、あまり簡単なことじゃない。

 

 糸が切れたように眠る。午後10時。ヴァイオリンを取りだす。バッハを弾く。先生に会わずに2ヶ月がたった。何言われてもまだうまく耳に入らない。バッハが一番集中出来る。青く深い海。没入。この個人体験は静かだ。海の中。感覚的に捉えられる水の流動に自然に身を任せられるように。1時間。まだ今日なにもしてないじゃないか。しかも鍛錬のない僕だ。楽器をケースに閉じ込める。

 

 ギターを少し弾く。マイケルを歌ってみる。「どうして無償の愛なんてものがあり得るのか知りたいかい?」英語の発音が難しい。音程も取れないが、歌うのは好きだ。無理をせずに、淡白に歌うのが好きだ。

 

 メールが来ている。きっぱりと断る。最近はっきりと言葉を使えるようになった。肯定的に見れば、自己のほんの少しの確立。自己を守るのに必死なんだ。臆病。噛み付く猫。

 

 夜。好きな時間。孤独。いつまでも慣れない。マグカップが空っぽだ。お茶と、ついでにほんの少しのチョコレートを取ってこよう。

 まだ日課が残っている。僕は夜を漂う。いい気分だ。