フクラム国

タルイのブログです

手書きメモ1

 ひどい雨だった。酸素を叩き落とすようにして、それは降り続いていた。地面に埋められたレンガの隙間に細い川として流れていて、また、その姿を、街の血管が大きく脈打っているのだと思うと、不思議とうつろになっていた意識がかき集められて、バスを待つ僕の凭れかかるようにしていた上半身が少しだけ前に起きていった。聴覚は雨雲が生成した雑音に支配されている。電車の中で脳内に響いていたメロディは分子レベルで粉々になって、今や雑音と混ざって雨粒を濁しているようだ。車が通るたびに地面が大袈裟な動きを取る。生命の脈動がこの街で行われている。ふらつく人々の群れを遮断し、激しく唸るそれに対して、僕は頼むから静かにしてくれと、そればかり考えている。バスはまだ来ない。僕はただ一人で家への交通手段を待っている。手のひらの内側がじんわりと冷たい。なぜだかその訳はよくわかった