11/23 祝日 メモ

嫌いな自分になっているときだけ無神経に自分を肯定したりして、数日後には白と白に挟まれてひっくり返って裏がわになってた部分があらわになるのもなんとなく分かるし、身動きなんてとれやしないんよ。 小説家でもないのに書きたかった物語があったりして、…

白くて馴染まない:押上

少し傾いているように見える、白い塔を見上げる。喫煙所で休憩している僕たちの前に東京スカイツリーは悠然と佇んでいた。押上駅から階段をビル4階ほどの高さまで登り、塔のふもとにようやっとたどり着いた頃、あたりには夕方が始まろうとしており、点々と浮…

白くて馴染まない:喫煙所

「11月は、ドイツでは、寂しい月なんです」60歳前後の男性教授はドイツの祝日を説明しながらそんなことを呟く。難しい言葉を使って繰り広げられる講義の大部分はうまく頭に入ってこなくて、とりあえずホワイトボードに書かれたキーワードたちをプリントの端…

白くて馴染まない:総武線、上野公園

市ヶ谷駅を過ぎたあたりだっただろうか、いつも背後に伸びている影みたく、「忘れていただけでいつもそこにあったのだ」と言わんばかりに、夢の中の彼女が姿を現した。 「ねえ、外国に行きたいって、前に言ってたじゃない?」彼女は夢と同じ服装のまま、僕の…

白くて馴染まない:小田急バス

僕はその日バスに揺られながら、夢のことを考えていた。自分が将来に向けて持っている夢、のことではなくて、つい昨日の眠りの中でみた、夢のことをである。 ……その夢の中で僕は、知らない女性と手をつないで歩いていた。人の気配のない一本の長い道を、ゆっ…

僕とはちがう私のかたち:そしてまた、朝

台所でちろちろと落ちる水をグラスへと汲んで、ベランダに出て外を眺めていると、車の少ない大通りと、布団の干してある斜向かいの家が見えます。活動的な両親は風邪気味のわたしをおいて何処かの街へ行ってしまいました。風で揺れるカーテンだけが部屋の中…

僕とはちがう私のかたち:深く黒い海(下)

”見える?” 姿の見えないその存在は、まず、そう尋ねました。あたりを取り巻いていたぎょろりとした目の魚たちは、そこにある何か触れてはならないものに畏怖しているかのように、僕の周囲から遠のき、静かにしています。目の前には、ただ、テトラポッドの上…

僕とはちがう私のかたち:深く黒い海(上)

そう、テトラポッドに登ったその日、僕はバランスをとることも忘れて、ぼちゃんと、海に落ちたのです。なんだか突飛なことのように聞こえるかもしれないですけれど、今から思うと、その日の僕にとっては、それはどちらかといえば、起こるべくして起こってし…

僕とはちがう私のかたち:テトラポッド

その日、僕はテトラポッドの上に立っていました。それは小粒のブドウみたいな紫色をした夕暮れ時で、僕はつま先のあたりでうまくバランスを取りながら、少しばかり肌寒い風に当たっていました。むしゃくしゃしている気持ちを、落ち着けられたらと思ってのこ…

僕とはちがう私のかたち:朝

本来動いているものから、すっかり離れてしまった自分を、ひそひそ合わせていくような、ゆったりとした時間が流れる、まるで夕方の散歩みたいな日曜日です。 今までとは全く違うものをエンジンにしなければ、何も始められない、と感じます。それはもしかした…

「そとがわ」の産毛に手を掠めている

彼女は余白を信じている。屹立する木々の間、木漏れ日を小麦色の頰に受けて時期を伺いながら。我々はそれを、少し卑しげに認めている。 夜明け時、小鳥や栗鼠などの小動物がなにやら慌ただしく辺りへ四散していく。広がるのは茫漠とした不安。対して彼女は新…

今年の猛暑度合い

度重なる猛暑でタケルの家の犬が溶けて、ぶよぶよとした犬になったらしくって、まるでサチィみたいじゃないかって笑いとばしてみたんだけど、ふと見れば僕の髪の毛も溶け始めていて、あっという間にハゲ頭になっちまったわけ。 そしたら中学生の頃から連絡と…

2017/03/19

繊細な優しさは頰に触れる前に溶けてしまう雪みたいだ。人肌の気配を受けて世界から消えていくものだから、気づかない人はいつまでも気づかないまま。 もどかしさを抱えていた少年の右目の隅にきらめいていた星。臆病さに押し負けていた少年の左目に佇んでい…

メモ

ずっと思い描いている美しい世界だけを好きでいたいと思う瞬間が多々あるのに、書いていたいと思うのに、それだけで終わらないから、これからの僕が、今まで以上に本を読んだり、音楽を聴いたりしながら、沢山の世界を目にするように生きることになるのでは…

The Apostle

窓から抜け出して夜を歩く。ゆるされた外出時間だけじゃあ物足りないわたしの生活 はじまりはいつだってわくわくより、何もないきもちの中にあって、気づけば変わっていく景色だけがだんだんと、色づいていく、「かもしれない」未来を可愛らしく形作っていく…

(ever)lightgreen

わたしは誰かほかの人間であったりだとか、何か大きな仕組みだとかと手を取り合って、あるいはよいしょしてもらったりして、健やかな毎日を過ごしていける。そういうことはもうなんとなくわかる。わたしは、ひとりで生きていける、と言えるほど強くないし、…

暑さにおかしくなったのか、ひょんな言葉や、音楽や文字や気遣いに助けられるようにして、どうにか寝不足に冒されふらふらになりつつも帰り道を辿るような日。生産的なこと、なんだそれ?って本気でかしげるほど相当に頭が悪いもんで、夜中じゅうひたすらに…

憂鬱には良いものと悪いものがあるというが、まさに悪い方のそれが今日一日覆い尽くすように街中の熱気と混ざって大変な具合である。 尾崎豊が"Freeze Moon"という曲ではち切れるくらいの声で「きっと何もかもが違う 何もかもが違う」と言い続ける一節があっ…

アラベスク

独裁的な熱気の中で、ずっと耳元からドビュッシーを聴いている。遠のいていく、彷徨っていく、元いた場所にいつのまにか戻りながら、行きつ戻りつ毎日がすぎる。ジャンケレヴィッチだったか、「ドビュッシーは深淵に落ちていく」といい、その上で「深淵には…

へんな感じ

私が捉えていたはずの、「わたしらしさ」みたいなものが、ズレていくでも、遠くなっていくでもなく、どうでもいいものになって、薄れていく。大人になっていくということが、とんでもなく不愉快なものだと思っていた私には、こんな風に、世界全部が「わたし…

ウェス・モンゴメリーを聴いていた頃

「君が住むこの街にある、"生きやすさ"という満足は、きっと何物にも代えられないほど心地よいものなんだと思う。それなりに真実味のある苦労があって、それと引き換えに得ることのできる自由時間だって真実味がある。私の言っていることはわかる?」「わか…

少しだけ、うごく

何日か、たてつづけに頭と体をいろんなことに利用していたものだから、布団からでられなくなった。重力は体を縦にはさせないで、枕に顔をうずめたまま、時折ごろんと転がったりするばかりの一日をすごす。 起きているつもりでも、目を閉じていると、隙間に入…

構築の外

忘れていたのは微かな、しかしそれだけに確かだった、私たちの前に身構えている構築の外、虚の先にある、無。「無がある」。言葉遊びはこれだけにして、感じとれるのはやはり僅かな… 揺り動かすことをやめる。まだ、どこかに向かっていたつもりだったけれど…

ゴードンさんと谷の底

「谷の底に大切な歯車を落とした」依頼人の話を要約すると、どうやらそういうことらしい。なるほど、引き受けましょう。ゴードンさんは依頼人と握手をする。 どうするんですか、僕が聞くと、当たり前のような顔をして どうするって、そりゃあ、取りに行くん…

明け方の鳥の声

サッカー・ワールドカップというものをかつてないくらいに観た。 勿論、日本の試合は特にすごくきちんと観た(椅子に座って、コーヒーを片手に、時折天に幸運を祈りながら、観た。)。 決勝トーナメントのベルギー戦は、素人目に見てもとってもいい試合だった…

太陽は、少し

真夏の太陽は、少しまぶしすぎると彼が諦め混じりに言うものだから、本当だねと笑う隙間もなくて、ただ受け流しながら大きな公園を抜ける。その先にある学校、見知った人たちがまばらに行き交う私たちの居場所へ帰っていく。 「いつかは、想像を超える日が待…

羽ばたき

日ごとに二度、白く淡い光が立ち昇って、やんわりと散らばって消える。薄暗い病室の窓から見えるそれを「羽ばたき」と名付けたのは、読んでいた本の一ページの所為でもあり、同じくらいに、身を浸透するセンチメンタルの所為でもあるようだった。 こじんまり…

十五、十六

よく夢を見た。得体の分からない影に追われ逃げた先には教室があって、同級生たちが入ってきた僕をひたすら笑うという夢。「お前らには分からないかもしれないけれど」そんな常套句が意味を成さないのは知っているけれど、それでも彼らのふざけた笑い声だけ…

なんとなくの寂しさが夜に向かう

クラス委員の少年は文化祭のアンケート用紙を回収しながらも、彼女の机の上に置かれたCampusノートの、筆圧が濃すぎてページがガタガタとしている様を認める。表紙には丁寧に過ぎるような"English"の文字。 クラス・ルームを賑わす前髪ひと束をピンクに染め…

L・O・V・E 投・げ KISS

最近は西荻窪のクレープ屋によくいく。フランス語の新しい参考書を買ったし、犬を見ても前ほどに怖がらなくなった。加えて最近のぼくは随分と、キャンディーズに参ってしまっているらしい。どうやら生まれる時代を間違えたみたいだ。なんて、高校生の頃にこ…